わが国の経済社会は、長期的な成長過程を経て成熟期を迎え、新興国の台頭や少子高齢化などにより新しい局面を迎えている

ように思われます。

今後の長期的なビジョンや戦略の明確な姿が見えてこない中で、私たちはまず足元にある有形無形の資産を再度見直すことから

将来計画を始めたいと考えました。

地方都市を訪れると駅前のビルが廃墟となっている姿を度々見かけます。

その姿は訪れた都市全体に対しての印象を暗くし、都市の本来の魅力を減退させています。

廃墟ビルを放置していることが、都市全体が衰退してゆく速度をどんどん早めているように感じました。

自分を客体化することが困難であるのと同じく、自分の街を外からの目で見るという事は容易なことではありません。

部外者である私達の方が都市に対する先入観もなく、客観的にその都市のポテンシャルを発見できるかもしれないと考えました。

そして最初に取り組んだ都市施設はホテルでした。

駅前の良い立地でしたが、宴会を主体とした経営を行っており宴会需要の低迷や結婚式の多様化により、ホテルの閉鎖に至ってお

りました。

築30年を超える一般的には老朽化した施設でしたが、オーナーの愛情が注がれたホテルは、丹念にメンテナンスされており、再生を

待っているかのようでした。

周辺に多くの工場を有する地域でしたので、工場に出張してくる人々がその疲れを癒せるホテルを目指して改修をいたしました。

お陰様でご好評をいただき、地域に必要な施設の仲間入りが果たせたと考えています。

地域社会の資産の効率的な運用を再構築することで、新しい変化に対応してゆく余力を創出することが、私たちの基本的な使命

であると考えています。